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DVの定義について内閣府への要望

2024年8月、内閣府にDVの定義について要望を出しました。

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男女共同参画局長 岡田さま、 課長 田中さま

一般社団法社団法人アウェアの山口のり子です。
日ごろDV対策のためにご尽力いただきありがとうございます。

DVの定義のことで提案させていただきます。

添付の令和6年度「女性に対する暴力をなくす運動」実施要綱にも
DVのことが「配偶者等からの暴力」と記載されています。
私は、この言い方は定義としては不適切であるとかねがね考えており、
そう発言したり書いたりしています。

私は「配偶者(等)への暴力」という言い方をしています。
「からの」と「への」違いですが、ポイントは、情報やメッセージがだれに向かっているかです。
「からの」は被害者に向けられたものです。
「からの」ばかり言うのは、被害者に向かって「DV防止の責任はあなたにあります。
あなたが解決しなければなりません」と言っているようなものです。
現状がそうなってしまっていることは皮肉なことですが。

一方、「への」はDVをする人に向けられています。
DVは「する人」の問題ですから、DVをする人に向けてのメッセージに変える必要があります。
ところが地方自治体で作っている男女共同参画条例や行動計画を読むと、
定義に「からの暴力」を使っているところがほとんどです。
内閣府がそう言っているからに他なりません。

確かにDV防止法の名前は「配偶者からの暴力」で始まります。
「配偶者等からの暴力」という言い方は、この法律ができてから加害者対策がされないまま
20年以上経ってしまった弊害のように思います。

被害者に対して防止を言い続けて、なんでそれが防止になるのか私には不思議です。
被害者には加害者のDVを止められないから問題なんです。
いじめられている子に向かって、それは「いじめだから防止しましょう」と言って解決させるようなものです。

防止というのは、「やる」ほうに向かって言ってこそ防止になるのではないでしょうか。
DVの定義をぜひ「配偶者等への暴力」か「配偶者等に対する暴力」という言い方に変えてください。
あるいは「配偶者等暴力」とか「親密関係暴力」というほうが、「からの」を使うよりよほどいいのではないか
と思いますがいかがでしょうか。

英語ではviolence against women、violence against intimate partner、intimate partner violence
などと言います。「○○からの暴力」という言い方の英語の定義は目にしたことがありません。

デートDVも同じです。「交際相手への暴力」あるいは「交際相手に対する暴力」に変えていただきたいものです。
「デートDV」という言葉は私が2003年に作り、その言葉をタイトルにした本(表紙写真を添付)を出版して、
DVはおとなだけの問題はでなく、若者の交際にも起こっていることを日本に紹介しました。
私はその本の中でデートDVの定義を「交際相手からの暴力」とは書いていないのですが、
今や多くの自治体の条例や行動計画に「からの」が使われていて、とても残念です。

言葉を変えることで意識が変わります。
被害ではなく加害に焦点を当てた言い方をすることで、DV防止のためには加害者への対策こそ必要だ
という社会的認識を、ぜひ内閣府の皆さんから広めてくださるよう切にお願いいたします。

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