今こそ連帯して社会からDVをなくそう

アウェア代表の山口のり子です。

皆さん、コロナ感染拡大の危機により非常事態が続き、気持ちも落ち着かない日々をお過ごしのことと思います。人類は今、試練にさらされています。私たちの生活がどうなるのか、あの日常はいったいいつ戻るのか、ますます見えなくなっています。

物事はすべて変わる、ということを私たちは今突きつけられています。ですから私たちも変わらなければなりません。生活の仕方、考え方だけでなく、生き方そのものも変えることを迫られているように思います。でも変わらず続けなければならないことはたくさんあります。社会からDVと性差別をなくしていく努力はそのひとつです。

DVは災害など人々が危機的状況に陥ったとき増えます。人々にストレスがかかったり、不安がつのるような危機的状況では、加害者は普段にも増して相手や状況を自分の思い通りさせようとしてDVをしがちになります。加害者にとっては、自分が楽になるために親密な相手を利用することが当たり前になっているからです。被害の相談数が増え、シェルターがいっぱいになっていると聞きます。緊急の支援をしている支援者の皆さん、ほんとうにお疲れさまです。

人々が家から出られない状況では、なおさら加害者プログラムは必要です。やめるわけにはいきません。アウェアは4月以降オンラインに切り替えてグループでのプログラムを続けています。男性たちは、オンラインで参加する環境がなくて参加しなくなった人や、オンラインへの切り替えを言い訳にやめた人もいますが、PCを買ったり、環境を整えたり、参加するための練習をしたりして、ほとんどの人が続けています。こんな状況だからこそDVをしない自分でいるために、加害者プログラムとそのグループの助けが必要だと考えているようです。

アウェアにつながってくださっている女性たちは、夫がテレワークで在宅なので顔を合わさないように工夫しているとか、学校がないので子どもたちと実家に行っているとか、女性のためのプログラム(月3回オンラインで実施中)に子どもがいて参加がむずかしいけれどなんとか参加したいという連絡をくれたり、車の中からスマホでオンライン・プログラムに参加したりするという具体に、制約だらけ生活の中でがんばっています。アウェアは、女性たちのために無料のメール相談窓口を開設しています。

昨今、DVと虐待が関連していることも明らかになりました。DV加害者を社会が放置しておくことはもう許されません。被害者支援としての加害者更生の仕組みが必要だという声をますます大きくあげていくときです。このような危機的な状況だからこそ、皆さん、さらに連帯して前に進みましょう。