年賀状で自分のDVについてカミングアウトしました:ある日の振り返り⑳

振り返った男性:年賀状で自分のDVについてカミングアウトしました。30年以上妻子に暴力を振るい、それを隠し、皆をだましてきたことなどを書きました。前科100犯以上、懲役100年以上に当たるようなことをしているのに、警察の世話になっていないのは、パートナーが子どもたちを犯罪者の子どもにしたくないという思いのおかげであることも書きました。

そうしたら“警察の世話になっていない”という言葉にパートナーが大きく反応しました。子どもが大きくなってからも警察を呼んだことが何度もあるし、警察に相談したこともあるのだから、警察の世話になっていないなんてありえないと言って怒られました。そのことを数日間にわたって何度も責められました。

被害女性の書いた本の中に、加害者は自分のやったことを都合よく忘れていると書かれていました。自分でもアウェアでの事前面談の時のチェック(DV行為のリストの中に、自分のしたことがあったら〇をつける)がパートナーとあまりに違っていてビックリしたことを思い出し、パートナーの言っていることはもっともだと思いました。今度からはパートナーの話はメモを取り、自分のしたことはもっと正確に自覚しようと思います。

自分はこんなにがんばっているのに「ぜんぜん変わっていない!」と言われるとムカつく:ある日の振り返り⑲

職場の同僚にうちのことを話しました。女性が多いので、パートナーの気持ちがわかると言われ、
自分のこと事を棚に上げてパートナーを責めたことがよくないと言われました。
頭では理解することができるんですが、納得はいかないです。
自分はこんなにがんばっているのに「ぜんぜん変わっていない!」と言われると
ムカついてしまいます。自分でも承認欲求が強いことはわかっています。

F(ファシリテーター):
そこでグループの仲間たちからは、
・変わったとはだれが決めるのか?
・他の人と比べても仕方がないのでは?
・パートナーが変わったと言わないのであれば意味のないことだ
・なぜ、そんなに承認欲求が強いのか考えてみたらどうか
などと言われたのですが
彼は自分だけが家事育児を負担させられている感が強いようで、やるように言われたときイラっとしたことを「自分は変わったのに、たった1回イラっとしただけですべてがダメのように言われるのは納得いかない」と、仲間からの意見も納得できないようすでした。

相手を丸め込もうと会話をしていたことに気づいた:加害者のある日の振り返り⑱

振り返りをした男性:ラインでのやり取りの中で、自分が相手を丸め込もうと会話をしていたことに気づきました。変わっていない自分がよくわかりました。今後は相手のペースにすべてを合わせること、相手の言動にすぐに反応せず、しばらく時間をとって考えることにしました。また、メールをやり取りすることがあっても、相手の読みやすい量にするなど、気をつけたいと思います。

DVのやり方を子どものころから学んで自分の手口にしてきた:教材を使ってのある日の振り返り⑰

F(ファシリテーター」:教材は前回の「育った家庭での力と支配」でした。前回は小さいころ家庭に「力と支配」をしていた人がいたかどうか考えてもらいましたが、今回は「その人」のどこからどうやって「力と支配」を学んだかをグループで考えていきました。

そうしたら「ふきげん」がキーワードになりました。家族に「ふきげん」な人がいると周りはどんな思いをするかということをみんなで考えていったところ、自分の思い通りにするには「ふきげんオーラ」を出すことが効果的であると学んだということが話題になりました。また、家族からだけでなく、社会のいろいろなことから影響を受けて、少しずつ自分のDVの手口を編み出してきたとグループのほとんどの男性が口にしました。

「○○オリジナル」というそれぞれの手口をシェアしましたが、全員がそれを子どものころからやっていたということでした。

DV加害者の手口というのは、年季が入っています。

夫婦ふたりっきりになったらパートナーは逃げ場を失い出て行った:DV加害者のある日の振り返り⑯

50代の男性:一緒に暮らしていた娘がパートナーと暮らすために今日家を出ていきました。親としては反対だったのですが、娘の意思を尊重して気持ちよく送り出しました。これからは夫婦ふたりでで楽しく暮らしていこうと思います。

F(ファシリテーター)から:このようなノーテンキなコメントに、グループの仲間からいろいろ
な意見がでました。ひとつだけ紹介します。

60代の男性:
私の場合、子どもがいるうちはまだよかったですよ。子どもが全員自立して夫婦ふたり暮らしになったとき、パートナーは逃げ場がなくなってしまい、家を出ていきました。そういうこともあると覚えていてください。

イライラしたらDVしてしまうぞとおまじない:DV加害者のある日の振り返り⑮

DV加害者プログラムに参加した男性:
先日ちょっと高い買い物をしてしまいました。慎重に選べばもっと安いものがあったんです。それでパートナーが明らかにイライラしている様子だったんです。その表情を見て自分が責められているように感じてしまい、DVチックになってしまったのですが、そのときおまじないを唱えることができました。「イライラしたら負けだ、DVしてしまうぞ」「批判でなく事実だ」と。おまじないを唱えることでよけいな一言を言わずにすみました。

パートナーのサイレントな怒りに気づいていなかった:教材を使っての振り返り⑭

F(ファシリテーター)の報告より:
今日の教材は「パートナーの怒りに向き合う」でした。男性たちは、自分が怒ったときは怒りの感情を出し放題なので、「怒りの感情を出せない」ということ自体が考えられないようでした。そこで、パートナーはほんとうに怒りを感じないのか考えて話し合ったところ、怒りの感情をもったとしても、自分たちの顔色を見ながら言いたいことも言えなかったのだということに行きつきました。自分たちは怒るとどなったり暴れたりするけれど、パートナーの「サイレントな怒り」に気がついていなかった、という人ばかりでした。

彼女に試されている:ある日の振り返り⑬

振り返りの男性:
別居中なんですが、最近アウェアでの学びが功を奏して自分の言いたいことよりもパートナーの話をよく聞いたり尊重したりすることができるようになって、ちょくちょくいっしょに食事に行けるようになりました。。先日、ふたりでだいぶ酔うほど飲んで楽しく過ごしていたんですが、ふとパートナーが異性の話をしたんです。以前そのことで浮気を疑って暴力をふるってしまったんです。パートナーが「実は○○さんと最近また会っているんだ」というところは我慢して「うんうん、そうか」と聞いていたんですが、「○○さんと私、深い仲でもいいよね?」と聞かれて僕はブチぎれてしまいました。
「大人同士で深い仲とかいうとエッチな関係に聞こえちゃうけどそうなの?」と聞くと、「そうじゃない」と言うんです。でも、気持ちが抑えきれなくなって、クドクドずっと責めてしまい、泣かれてしまいました。今はいっしょにいられるだけでいいと思っているんですけど、ちょっとしたことで我慢が爆発してしまうんです。今は仏になる修行中なのにと反省しています。

F:「深い仲」という言葉にグループの男性たちがだいぶ反応して、それはひどい!という意見が多く出ました。でも当の本人、「実はパートナーに試されている」というほかの男性の意見に納得していました。

教材は「ストレス対処法」でした。年末にタイムリーな教材だったようです。

答えありきだったということに気づいた: ある日の振り返り⑫

振り返りをした男性:
パートナーが子どもと家を出て別居中です。月に1回うちに来てくれます。夕方までいっしょだけどパートナーはホテルに泊まります。それは仕方ないと思っています。この間、食事中に子どもに「今日パパと寝るか?」と勇気を出して言ったら、子どもが泊まりたいと言ったので、その晩いっしょに寝ることができました。でも、それがパートナーを怒らせてしまいました。パートナーの怒りは収まらないようすで、僕は反省しています。

F:事前に相談したらパートナーからOKが出たかどうか、グループで考えました。

1 事前に相談する=事前に相談したんだから自分の意思を尊重しろ!(今の自分ならそうなる可能性が高いという意見)
2 事前に相談しても絶対にダメと言われるにちがいないから相談しない(これまでにも何度も断られたことがあるから)

この2つの意見にまとまりました。ほかの男性たちからエピソードをいろいろ出してもらって検証した結果、結局彼の行為は、どちらにしても“答えありきだった”ということに行きつきました。

なんでもいいからパートナーより上になるネタを探し出し、優位に立とうとしていた:ある日の振り返り⑪

教材を使っての振り返り

Fより:今日は教材として、6人の若者が出てくるビデオを見ました。
視聴前に他人事として観るのではなく、自分に引き付けて観るように伝えました。

男性たちの感想・気がついたこと:
・パートナーの人権など考えたことがなかった
・人権という言葉は中学校以来聞いたことがない
・自分は差別はしていない

など、はじめは他人事という感じの発言が続きましたが、家庭の中や夫婦間ではどういう差別があるかを考えるように言ったら、人より上になる、人より優位な立場になることで得られるウマミについて話が広がりました。

例えば、
・なんでもいいからパートナーより上になるネタを探し出し、優位に立とうとしていた
・それは収入、学歴、体格、身長、筋力、社会的立場、親の立場、社会経験、成績などなんでもよかった
・パートナーより上の立場にいればあらゆることを免除され、あらゆる権利が得られた
・相手からあらゆる権利を奪ってきたことに気がついた

などの意見が出ました。