アウェアとは?

アウェアとは英語で「気づく」という意味です。
アウェアは2002年よりDVのない社会を目指して活動している市民団体です。
アウェアの活動には4つの柱があります。
カテゴリーの「アウェアの活動」をご覧ください。

1)DV加害者プログラム

毎週2時間52回以上通う男性のためのプログラムです。治療やカウンセリングではなく、グループで行う教育プログラムです。DV被害者支援のひとつの方法として実施します。

2)DV被害女性プログラム

被害にあった女性がDVを見抜いて自分の人生を取り戻すチカラをつけるための月2回のプログラムです。夫やカレがアウェアの加害者プログラムに参加している人や、DVをされているけれど離婚・別居はまだ決断していない人などが対象です。

3)デートDV防止プログラム

DVは大人だけの問題ではありません。若者たちの交際でもおきています。デート相手にするので「デートDV」と呼びます。若者たちがデートDVをする人にもされる人にもならないよう、相手を尊重する、健康で対等な関係をつくるために学ぶプログラムです。

4)ジェンダー平等プログラム

上記、すべてのプログラムは、ジェンダー平等(女性、男性、LGBTQ、すべての性の平等)の視点を重視しています。また、いろいろなテーマでオンラインサロンや講座などジェンダー平等を深堀りする場を、適宜開いています。

以上4つのプログラムのファシリテーターの実施者養成をしています。

・デートDV防止プログラム・ファシリテーター養成講座

(DV加害者プログラム実施者を目指す方もまずこれを受けてくださいい。)

DVとは、親密な関係の相手に対するからだと心への暴力であり虐待です。グローバル・スタンダー ド(イスタンブール条約)では、DVは「ジェンダーに基づく暴力」(GBV)、すなわち性差別の一形 態であることが明記されています。DV加害は病気ではなく、自ら選択した行動であり、したがって 加害者プログラムは、治療ではなく、更生のための教育として実施することが基本です。また、そ れは被害者支援の一環であり、被害者の安全と権利回復のためになされるべきものです。
そのため、加害者プログラムの実施者になろうとする方は、DVに特化された研修を積む必要 があります。当講座は、DVとデートDVの基礎を学ぶだけでなく、加害者プログラムの実施者を目 指す方に必要な「ジェンダーに基づく暴力」の意味、その歴史や社会構造、実態などについて学 べます。また、参加者が自分自身を内観し、さまざまな気づきができることも当講座の特徴です。 これまでの参加者から「自分自身のジェンダーにはじめて気づいた」、「自分も力と支配をしてい たことがわかった」、「自分にも暴力容認意識があることに気づいた」などの感想が寄せられてい ます。これらは加害者プログラム実施者に不可欠の気づきです。
DV加害者更生教育プログラムの実施者になりたい方も当講座の前期と後期(合わせ て6日間)をまず受けてください。当講座受講後、被害者支援プログラム講座の前期と後期(合わせて4日間)を受講してい ただくと、加害者プログラム研修1(基礎編)とⅡ(教材編)(合わせて6日間)、そしてⅢの加害者 グループの見学(50時間)と実習(10時間以上)へと進むことができます。(合計で約200時間)

・DV加害者プログラム研修Ⅰ~Ⅲ

 

研修Ⅰ 基礎講座:DV加害者と加害者プログラムについて基礎的なことを学ぶ

研修Ⅱ 教材講座:DV加害者プログラムの教材について学ぶ 基礎講座を修了した方で、プログラムの教材とその使い方を学びたい方むけの講座です。ただし研修Ⅲまで修了しなければアウェアの教材を使ってプログラムを実施することはできないことをご承知おきください。

研修Ⅲ 見学と実習:DV加害者プログラムの見学(50時間)と実習(10時間)

基礎講座と教材講座を終了した方が対象です。アウェアのDV加害者プログラ  ムの教材を使って独自にプログラムを実施したい方は、上記すべての研修を修了することが必要です。修了された方には、アウェアの加害者プログラム教材集CDをお渡ししますが、修了の可否はアウェアがさせていただきます。

  • アウェアの男性グループの見学(50時間)(2時間X25回)
  • 1回の週末に下記3つのグループ(各2時間)の見学が可能です。
  • (土曜日の午後4~6時、夜7~9時、日曜日の午後2~4時)
  • アウェアの男性グループで実施体験(10時間以上)(2時間X5 回以上)
  • 50時間の見学が終わった方には、グループでファシリテーターとして実習をしていただきます。(アウェアの判断で実施回数が増える場合があります)
  • 面談同席 見学期間中、加害者の面談(3回)とパートナーの面談(1回)に最低各1回は同席して面談の仕方を学んでください。
  • 被害女性プログラムに参加 被害者のことや支援の仕方を学ぶために最低1回は参加してください。

定 員:研修Ⅰ~Ⅲとも10名ほど(少ない場合は延期することもあります)

会 場:アウェア(東京都千代田区飯田橋)

参加費:150,000円(教材集CDを含む、税込)

対 象:研修ⅠはDV基礎講座かデートDV防止プログラム・ファシリテーター養成講座修了者であれば受講できますが、ⅡとⅢはさらに、事前に面接を受けていただき、参加要件を満たす方かどうか確認させていただきます。

*興味のある方はアウェアにメールでご一報ください。参加申し込み要件等詳細をお知らせします。

 

・講師・ファシリテーターの派遣

・冊子・パンフレットの制作請負

 

aware代表:山口のり子
【プロフィール】

差別のない、ひとりひとりの人権が尊重される社会を目指して日本及び海外で活動する。シンガポールではDVやセクシャル・ハラスメント被害者支援、及び裁判支援に関わる。ロサンゼルスではDV加害者プログラムを実施するためのトレーニングを受け、帰国後2002年に「アウェア」を開設してDV加害者向け教育プログラムを始める。2003年に「デートDV」という言葉を日本で初めて使って本を出版し、若者向け防止教育に取り組む。DVとデートDVについて講演・執筆するとともに、プログラム実施者の養成をしている。

〔山口のり子の本〕
*(新刊)『愛を言い訳にする人たち DV加害男性700人の告白』(梨の木舎)
*『愛する、愛される-デートDVをなくす・若者のためのレッスン7』(梨の木舎)
*『デートDV 防止プログラム実施者向けワークブック』(梨の木舎)
*『DV あなた自身を抱きしめて―アメリカの被害者・加害者プログラム』(梨の木舎)
*『海外でつくった!人の輪・仕事の環』(梨の木舎)
*『元気のおすそわけ―暮らしの中のフェミニズム』(太郎次郎社)愛を

共著
*『デートDVをなくすために 理解とサポートの基礎知識』(共著、女も男もNo.113 労働教育センター)

訳本
*『DV・虐待 加害者の実体を知る』(共訳 ランディ・バンクロフト著 明石書店)
*『恋するまえに デートDVしない・されない 10代のためのガイドブック』
(共訳 バリー・レビィ著 梨の木舎)

アウェアの主張

アウェア代表 山口のり子
2001年にDV防止法ができてから、社会による被害者支援は少しずつ前進してきました。しかしDV防止法には加害者対策は入っていません。加害者対策はDVをなくすために不可欠です。DV対策にとりくんだ歴史の長い国には、加害者処罰に関する法律が作られています。米国もそのひとつです。カリフォルニア州には強制的逮捕と刑罰代替というふたつの法律があります。強制的逮捕とは、DVの容疑がある場合は、加害者の身柄を拘束することを警察官に義務づける法律です。被害者がけがをしている、家具がひっくり返っている、子どもがひどく怯えているなど、警察官はすべて証拠として使います。ひどい暴力をふるった者や再犯者は起訴されます。過去に犯罪や飲酒運転などの経歴がない場合は、起訴されないこともあります。その代わりに1年間、更正のための教育プログラムに参加することが義務づけられています。これが刑罰代替と呼ばれる法律です。加害者はプログラム受講中と終了後3年間、保護監察局に定期的に通わなければなりません。同州では、強制的逮捕と刑罰代替というふたつの法律ができてはじめて、被害者の安全に役立つ加害者プログラムの仕組みができあがりました。

アウェアでは、カリフォルニア州認定のプログラムを応用して、男性向けDV加害者向けプログラムを実施しています。参加者は、被害者が家を出るとか、保護命令を申請するといった行動をおこしたことによりショックを受けてなんとかしなければと思った人たちか、妻にアウェアに通って変わるか、離婚だと突きつけられた人たちです。しかし彼らは加害者の中のほんの一握りの人たちです。多くの加害者は、「悪いのは相手だ。自分こそ被害者だ」と考えています。彼らを更生に向かわせるためには法的強制力が必要です。他人に対して行なったら傷害容疑で逮捕されるような暴力行為なのに、相手が妻やガールフレンドだからとか、家庭内のことだからとか、個人的なことだからなどという理由で加害者を逮捕しないのは、被害を受けた女性の人権を軽んじることです。「暴力をふるう者は相手が誰であろうと処罰する」ことを社会が明確にしなければなりません。しかし本人が変わらない限り、処罰だけではまた相手に暴力をふるったり、別の人に対して同じことをしたりするかもしれません。それでは被害者の安全はありません。暴力をふるう者は「自分を変える責任がある」ということを明確にし、加害者プログラムを社会が用意する必要があります。

DVは大人だけの問題ではありません。若者の間にも起きています。デート相手にするDVなので「デートDV」と言います。アウェアが2009年10月に発表した若者の意識調査結果では、交際経験のある若い女性の5人に1人、男性が11人に1人、デートDVの被害を経験しています。女性のほうが男性より2.5倍の率で被害にあっています。DV行動のひとつとして、女男ともに相手を束縛していますが、女性が携帯を使った束縛をすることが多い一方で、男性はそのほか、どなったりからだへの暴力をふるったりしておどして束縛する傾向があります。またデートDVに結びつきやすい考え方を多くの若者がもっていることもわかりました。例えば、「男性にセックスを求められたら女性は愛情があるなら少々イヤでも応じるべきだ」とか「数回デートしたら『相手は自分のものだ』と思っていい」という考え方を5人に1人がもっていることがわかりました。男性のほうが女性より、これらの考え方をもっている率が高いです。またデートDVをされたことがある・したことがある人は、体験のない人に比べて、それぞれ2倍、3倍の率でこれらの考え方を支持していることもわかりました。子どもたちが、若者たちが、デートDVやDVの加害者にも被害者にもならないように、私たち大人が防止教育を広げる責任があります。

DVは社会が生み出している問題です。人々の意識と社会構造が変わらないかぎりDVはなくなりせん。2014年の暮れ、米国のオバマ大統領はテレビで、「アメリカで5人に1人の女性がレイプされたりされそうになったりしています。4人に1人の女性がなんらかのDVを経験しています。こんなことを許してはなりません。女性へのあらゆる暴力を許さない社会をつくるのは、私たち1人1人です」とスピーチしました。
日本の私たちも、1人1人が「自分には関係ない」から「それは自分の問題だ」へと考え方を変えなければなりません。そして、社会の構造を女男平等に変えること、被害者支援をもっと充実させること、若者への防止教育を広げること、加害者対策を社会全体で講じること、それらすべてを進めていかなければなりません。

DVの本質である「力と支配」は、人間関係の最少単位の夫婦や恋人などにおきますが、大きくは国単位でもおきます。私たちは2015年の夏、国会で安倍政権による「力と支配」をまざまざと見せつけられました。安倍首相がしたことはDV加害者がすることと同じです。国会の答弁では、野党からの質問に対して、はぐらかし、まやかし、うそ、論理のすり替え、開き直りなどを駆使して、誠実な答えも丁寧な説明もしませんでした。これらは、自分は正しいのだから自分が通したいものはどんなことをしてもいい、というDV加害者的態度・行動です。最後には暴力沙汰の強行採決(もどき)までやってのけました。憲法を無視して民主主義と立憲主義を踏みにじったのです。戦争は、国家権力による最悪の形の「力と支配」です。安倍政権のあまりのひどさに、若者を含めておおぜいの人がたちあがりました。私も何度も国会議事堂の前に立ち、声をあげました。次世代には原発も戦争もない、1人1人の人権が大切にされる社会を手渡したいと思います。

参加者男性の面談票等に関する調査・公表へのご理解とご協力のお願い

アウェアでは、社会に向けてドメスティック・バイオレンスの実態や取り組みを啓発し、DVの加害・被害を生み出さない社会の創生に寄与することを目的とし、個人面談で得た情報や加害者プログラムのグループでの発言などの一部を、個人が特定されない形でまとめて社会に公表することがございます。
ご理解いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。

尚、公表されたくない方は、下記までお申し付けください。

相談先 アウェア
Tel:03-6272-8770
Fax:03-6272-8771
住所は非公表